おじいちゃんといっしょ 　　　　
　 時空捜査局 事件簿
Time-Space Investigation Office Case Files
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　月神の研究
（Ｉｎ　ｓｅａｒｃｈ　ｏｆ　Ｍｏｏｎ　Ｇｏｄ）６６



　 緋色の女救出作戦
その１２


　　 　 ○豊受大神鎮座由来

　ニギハヤヒはよほどこの邪馬台国女王になった孫娘が可愛かったらしくいつもそばに置きたがっているようだ。

　京都府中郡峰山町字久次510 の 比沼麻奈為神社 のホームページで由来をみると

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「止由気宮儀式帳」「倭姫命世紀」などの多くの文献の伝えるところによれば、崇神天皇の時代、皇女豊鋤入姫命、天照大神の御神霊を奉じて大宮処を選定すべく、丹波国（現在の丹波・丹後）吉佐宮に御遷幸になったとき、此処にお鎮りになっていた豊受大神が天の真名井の清水にて作られた御饌を大神にささげられたとあり、このとき豊受大神が鎮座していたのがこの地だといわれ、その後雄略天皇二十二年、伊勢に御鎮座になった天照大神が、雄略天皇の夢の中に現われ、豊受大神を伊勢に呼び寄せた後に、その御分霊をお祭りしているのがこの神社の由来と伝えられています。
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　この由来の元になっている文献「止由気宮儀式帳」をひもといて意訳すると、
「雄略天皇二十二年、 天皇の夢にアマテラスが現れ『わたしだけが鎮座していては寂しくて御饌（ミケ）も食べにくいから 丹波の国の比治（ヒジ）の真奈井（マナイ）のわたしの御食津（ミケツ）神トヨウケを一緒にに祭って欲しい』と告げたので 天皇はトヨウケを丹波から度会の山田原に迎えて宮を建てた。」と記載されている。 つまり、ニギハヤヒが自分の食事係に孫のトヨを喚んだのが伊勢の外宮の鎮座由来ということになる。

　この雄略天皇の夢の中に現われた天照大神がヒミコではなくニギハヤヒであったために この豊受大神伊勢鎮座由来は『記紀』からは削除されてしまっているのである。

　豊受大神に対しては天照大神という神名を使うニギハヤヒはトヨの別名に対してはかれも別名を用いている。 大日女（おおひるめ）であったヒミコの後継日女であったことから 稚日女（わかひるめ）という別名で祭られている神社を調べると

群馬県群馬郡榛名町下室田919　大森神社では「國常立之尊　合　稚日女命」
神奈川県伊勢原市三ﾉ宮1468　三宮比々多神社では「稚日女命、天櫛明玉命」
神奈川県伊勢原市神戸518　木下神社では「天明玉命、稚日女命」
愛知県名古屋市中区栄３−３５−３０　若宮八幡社摂社香良洲社では「稚日女命、少彦名命」
熊本県牛深市牛深町3198　牛深八幡宮摂社岡郷金刀比羅神社では「大物主神、稚日女尊」
大分県宇佐市大字下矢部666番地　歳神社では「大年神、稚日女命」
大分県大分市大字上宗方316番地　大明神社では「稚日女神、霜凝日子神」

　以上のようにワカヒルメとそれぞれ合祀されている神名はすべてニギハヤヒの別名である。 かれはほほえましく思えるほど孫娘にぴったりと寄り添っている。少し不思議でもある。

　あの 「雨の日のデート」の目的地、川口市石神の稲荷では山王やウカノミタマという名のニギハヤヒと「豊波」というかの女の本名で祭られていたが そのとき、わたしはその稲荷神社の前でなぜか京都の松尾大社の裏手の月讀神社で感じたのと同じ感覚を一種の デジャヴのように味わったのだった。 それで月讀関係の神社を調べると

　大阪府大阪市住吉区庭井２丁目18-16の大依羅（おおよさみ）神社では祭神が 「建豊波豆羅和気王、住吉三神、大己貴命、月讀命、垂仁天皇、五十猛命」となっていた。 月讀としてのニギハヤヒは建豊波豆羅和気王という「豊波」を持った変わった名前の祭神と一緒に祭られていたのだ。

○おじいちゃんといっしょ

　 ところでニギハヤヒはこの世でこの孫の顔を見たことがあるかどうか推理してみよう。 原田常治氏の『古代日本正史』によるとニギハヤヒは西暦１５０〜１年生まれで没年を西暦２２２年の６８〜９才くらいと推定されている。 一方トヨの方はヒミコが２４７年くらいに亡くなってしばらく男たちの王位継承争いがあった後に即位したのが１３才だった。 即位がヒミコの死の直後なら２４７年から１３年をひいた ２３４年あたりが生年なのだが、後継者争いがあったからその長さをα年として２３４＋α年生まれとみられる。ということは ニギハヤヒの没年を西暦２２２年とする原田説をとればこの祖父と２３４＋α年生まれの 孫のふたりは同時代に同時には存在せずすれ違っていることになる。没年と生年の推定間違いがあっても ニギハヤヒの亡くなったあとにトヨは生まれたようだ。

　この世で肉体レベルでは出会っていなくともニギハヤヒの場合は肉体を脱してから日本を守る霊としての存在の方が重要であった。 生まれ来る孫娘に新しいリーダーとして立たせるべくかれの分霊を依り憑かせたのだ。 そして肉体面ではニギハヤヒの祖父フツから、父スサノオの 身体を流れた血のモノリス（ＤＮＡ）がかれの子サルタヒコへと受け継がれそしてこの孫の肉体で発現して、ヤマトが成った。

　つまり豊波さんの霊肉はともにニギハヤヒと深い関わりを持っていたのである。

（つづく）

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