時空捜査局
事件簿
Time-Space Investigation Office Case Files
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月神の研究
（Ｉｎ ｓｅａｒｃｈ ｏｆ Ｍｏｏｎ Ｇｏｄ）８８
片目のジャック
その１５
○天地会
この物語の真意を探って読み返して、 まず初めに気づくことはサタンは神の子が主の前に参集する会にやってくるような聖なる存在であることだ。 この集会の性格を考察すると、ここは主と神の子が天地の統治について定期的に開会して論議をする場のようである。 主とかれらの関係は独裁ではなく参加者の意見を聴き、取り入れて進める方式で県議会や国会などにあたるものと思われる。
１章でも２章でも、主は「おまえはどこからやってきた」とたずね、サタンは「地を巡りめぐってあちこち歩きまわって来ました」と答えている。 他の神の子たちは天上のそれぞれの場の統治をまかされ、サタンはかれらと離れた地上に降りて働いているようだ。地上開発長官というところか。 主とサタンとの会話に他の神の子たちが一切口を挟まないのはそれがサタンの担当する地上に関わることだかららしい。 他の神の子たちも自分の担当区域についてはそれぞれ個別に答弁していたことだろう。
このような会を定期的に開く目的はもちろん天地の統治に関するなんらかの計画の立案実行であろう。 この物語からそれがどんな案件であるかをさまざまに考えてゆくと、 主がかねがね神々から人類に地上の政権委譲して統治をさせようと計画していたのではないかということにゆきあたるのである。 そして、その計画の遂行のためには地上の統治が可能なまでの人類の成長がどうしても必要になる。
すなわち、人類が政権委譲しても自立してやってゆけるまで成長させるために主とサタンが相談してなしたことがこの物語に描かれているのではないか。
（つづく）
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