時空捜査局
事件簿
Time-Space Investigation Office Case Files
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月神の研究
（Ｉｎ ｓｅａｒｃｈ ｏｆ Ｍｏｏｎ Ｇｏｄ）８７
片目のジャック
その１５
○サタンの登場場面
このあとは、ヨブの友だちがやってきてヨブとの長い論争が始まることになる。 しかし、これ以上は読み進まない。読み進むとサタンの出番はもう終わっているので、サタンについて考察するという本稿の主旨と外れてしまう。 この物語全体に興味のある方はご自分で旧約聖書の「ヨブ記」を最後までお読みいただきたい。
それでは、この物語に登場したサタンという存在について考証するために かれの登場場面を以下にすべて抜き出してみる。
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第１章６節〜１２節
さてある日、神の子たちが主の前に参じた。そしてサタンもまたかれらの中に来た。
そこで主は「おまえはどこからやってきた」とたずね、サタンは「地を巡りめぐってあちこち歩きまわって来ました」と答えた。
主はサタンに「この地に神を恐れ悪を避ける完璧で正しいわたしのしもべヨブほどの者がいないと気づいたか」といった。
サタンは主に答えた、「ヨブはなにもないのに神を恐れるでしょうか。
あなたはかれと家とすべての物を、垣で囲んだではありませんか。あなたがかれの仕事に恵みを与えたので、財産が地にふえたのです。
しかし今あなたの手を伸ばしてかれのすべての物を取り上げてごらんなさい。そうすればかれはあなたの顔に向かってのろうでしょう」
主はサタンに言った、「よし、かれのすべての持ち物をおまえにまかせよう。ただしかれ自身には手をつけるなよ」それでサタンは主の前から退出した。
第２章１節〜７節
さてある日、ふたたび神の子たちが主の前に参じた。そしてサタンもまたかれらの中に来て主の前にあらわれた。
そこで主は「おまえはどこからやってきた」とたずね、サタンは「地を巡りめぐってあちこち歩きまわって来ました」と答えた。
主はサタンに「この地に神を恐れ悪を避ける完璧で正しいわたしのしもべヨブほどの者がいないと気づいたか。おまえは、わたしをそそのかしてわけもなくかれを滅ぼそうとしたが、やつは高潔さを保ちおったぞ」
そしてサタンは答えた「皮には皮。人は命のためにはすべてを与えます。 しかし今あなたの手を伸ばしてかれの骨と肉を傷めてごらんなさい。そうすればかれはあなたの顔に向かってのろうでしょう」
主はサタンに言った、「よし、かれをおまえの手にゆだねよう。ただし命は助けよ」
「サタンは主の前を去って、ヨブの足裏から頭頂まで腫れ物に見舞わせた。 それでかれは陶器の破片で自分自身をかき、灰の中にすわった。
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以上、これですべてである。それほど量はない。１章と２章は同じ語句の繰り返しで効果をあげている。 残念なことにこの中にサタン自身についての描写はどこにもない。 この物語にはかれが何者なのかまったく描かれていないのだ。 ということはサタンがどんな存在であるのかはある程度一般に知られているという前提があるようだ。
サタンといえば日本に住むわれわれにも奸佞猛悪とかさまざまに形容される悪魔で人間を悪に走らせ破滅に陥れる存在という漠然としたイメージがある。 西洋キリスト教社会ではもっと具体的な悪のイメージが形成されているかもしれないが『ヨブ記』に登場するサタンのイメージはそんなにおどろおどろしいものではない。
ざっと読んだだけでは見えなかったサタンの真の姿とこの物語の真意に迫っていきたい。
（つづく）
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