消された神名 　　　　
　 時空捜査局 事件簿
Time-Space Investigation Office Case Files
　★
＊
　　　★
●
★
★




　月神の研究
（Ｉｎ　ｓｅａｒｃｈ　ｏｆ　Ｍｏｏｎ　Ｇｏｄ）６１



　 緋色の女救出作戦
その７


　　 　 ○消された神名

　
　左図は紀伊国名所図会に描かれた丹生都比売の姿であるが よく知られているように丹生都姫という名前の神は正史とされる『記紀』には全く出てこない。 全国的に多く祭られて有名なこの神を失念して書き漏らすはずはなく作為的に削除してしまったとしか考えられない。しかし、かれらといえども 残念ながら魏の国の史書『魏志倭人伝』からはトヨの名前を消すことまではできなかった。 おかげで現代に生きる人々も二代目女王がトヨという名前であったことを知ることができる。 それでも邪馬台国（ヤマト国）を邪馬壱国と書くのが正しいとしたりトヨを壱与（イヨ）であると主張する人々がいる。 いまだに古代の呪術は解けていない。古来、学者たちは為政者に都合の良い見せかけの史実 にお墨付きを与え真実を唱える者を排斥してこの国の行き先をあやうくしてきたのだ。

○たったひとつのてがかり 　
　たったひとつ遺された手がかりである額束の文字を推理してみる。 肉眼で視認中、一番確実と思えたのは一番下の「社」だった。一番上は衣偏に豊か皇のような形状に見えた。どうもあいまいなので それぞれの文字に似た形の扁と旁をパズルのように入れ替える。そして示扁に豊を最終候補として残した。 二番目はもっとわかりづらかった。サンズイになにかで「波」のようで「没」のようでもあった。苦しみながら最終的に残ったのは「菠」である。 それらを合わせると額束の文字は「禮　菠　社」ではないかという結論にたどり着いた。

　おずおずとわれわれの目の前に差し出されたこの名前にはどんな意味があるというのだろうか。

　　（つづく）

月神の研究その６２へすすむ

月神の研究その６０へもどる

『時空捜査局事件簿』目次へ


ようこそＭＯＮＯＬＯＧＵＥへ